免震の原理
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一般の建物
一般の建物は、大地震時において建物の一部で壊れることを許容し、それにより振動エネルギーを吸収させ耐震性を確保しています。
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免震建物
免震建物は、建物に伝わる揺れを免震装置で緩和し、ほとんど感じられないようなやさしい揺れに変えます。
一般の建物は、大地震時において建物の一部で壊れることを許容し、それにより振動エネルギーを吸収させ耐震性を確保しています。
免震建物は、建物に伝わる揺れを免震装置で緩和し、ほとんど感じられないようなやさしい揺れに変えます。
建物内の構造部材、仕上材、設備機器の被害防止により、機能を損なうことがありません。
注意:免震建物は、個々の物件ごとに地震動を想定し、免震性能のレベルを設定します。 また地震の揺れは、同じ地震でも地域によって差がありますので、詳細につきましては当社にお問い合わせください
地震時における人命の確保と建物の保全のためには、激しい地震動を直接建物に伝えないことが必要です。
免震構法は、免震装置で地震エネルギーを吸収することにより、建物の固有周期を長くし、ゆっくり揺れる構造にします。
図は同じ建物を免震構造にした時と、従来の耐震構造にした時の代表的な地震の最大応答加速度の解析結果を示します。地震の強さは、耐震構造の上階で約2倍に増幅されます。
一方免震構造では約1/3にまで低減されていることがわかります。(ELCENTRO-NSの場合)
当社は、狭いスペースでも床版が施工できる工法(※)を開発し、そのすき間は5㎝から15㎝位で施工可能となりました。この工法では、免震層をかさ上げするための柱を施工する工程がなくなり、また、玄関アプローチのディテールも簡素化できることにより施工にかかる時間と工事費を少なく抑えることが可能になります。
通常の確認申請で建築できます。(免震構造評定は不要です)
※本構法の開発及び特許申請は下記メンバーで構成されております。
徳倉建設株式会社、(社)日本建設業経営協会中央技術研究所、共立建設株式会社、古久根建設株式会社、日東みらい建設株式会社、オイレス工業株式会社
工法特許出願(第163902号)
従来の工法で施工する場合、施工時の作業空間として約70cmほど必要になります。
それに伴い、玄関・勝手口などは階段を多く取る必要があります。
また、ディテールも複雑になることから、実用性に欠ける建物になってしまいます。
建築場所 | 愛知県岡崎市 |
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建築概要 | 地上2階建て(在来軸組住宅)、建築面積104.34m2、延べ床面積191.70m2 |
免震構造 | 基礎免震 球面すべり支承(FPS-H)12基、最大変位400mm |
建築場所 | 愛知県尾張旭市 |
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建築概要 | 地下1階(RC)地上2階建て(在来軸組住宅)、延べ床面積355.47m2 |
免震構造 | 基礎免震(1階に免震) 球面すべり支承(FPS-H)9基、最大変位400mm |
建築場所 | 愛知県名古屋市 |
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建築概要 | 地上3階建て(RC)、建築面積280,67m2、延床面積523,63m2 |
免震構造 | 基礎免震 球面すべり支承(FPS-H)9基、最大変位400mm |
委員会名 | (社)日本建設業経営協会 中央技術研究所 小規模建物・住宅免震実用化検討委員会 構法開発部会 |
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メンバー | 徳倉建設株式会社、(社)日本建設業経営協会中央技術研究所、共立建設株式会社、古久根建設株式会社、日東みらい建設株式会社、オイレス工業株式会社 |
建築基準法の改正に伴い、条文に示される条件下において、戸建て住宅については特別な計算無しに免震建物を建てることができるようになった(4号建築物)。その条件の1つに免震装置と建物の間に厚さ18cm以上のRCスラブを設けることが示されている。一方、戸建て住宅の免震では、建物重量から使用する装置はすべり、転がり支承となる場合がほとんどである。そこで4号建築物にすべり・転がり支承を用いると支承の全高が低い(装置により高さは異なるが一般に低い全高である)ゆえのメリットが多いが、1階床版の施工上は床版と基礎との間隔が狭くなるため難点が多い。特に4号建築物の対象となる戸建て住宅などでは1階床・基礎ともに梁断面が小さいか不要なので、床版のコンクリート打設の際、床版床下面の型枠と支保工の設置と撤去が従来の工法では不可能に近い。
そこで、型枠には捨て型枠、支保工にはエアーウォール(喩えれば風船の丈夫なもの(写真))を使用し、狭いスペースでも型枠支保工の設置・撤去が簡単に行える工法(図-1)を提案し、工法特許を申請した。(第163902号)
本施工方法の妥当性を確認する目的で、実建物の約1/2の床版部分を実際に施工する実験を行った。
図-1 構法概念図
図-2 従来の施工方法
エア-ウォール
従来の方法で施工する場合、型枠支保工の解体時に作業スペースが必要になり、70cmほどの空間ができてしまう(図-2)。それにより玄関・勝手口などのディテールも複雑になることから、実用性に欠ける建物になってしまう。 今回提案した工法では、免震層をかさ上げするための柱を施工する工程がなくなり、また玄関アプローチのディテールも簡素化できることによって、施工にかかる時間と工事費を少なく抑えることが可能になる。さらに、型枠支保工解体時には最も安全な工法である。
1.基礎コンクリート打設
2.アンカープレート
3.免震装置据付
4.エアーウォール配置
5.デッキプレート配置
6.鉄筋組立・コンクリート打設
7.上部構造施工
8.エアーウォール解体
9.解体後
10.竣工
支保工として用いるエアフェンス・エアーウォールが床版コンクリート打設の際に生じる荷重により、変形もしくは損傷がないか確認するため、荷重と撓み量、空気圧を実験により確認しました。 (東京電機大学、日建経技術研究センターにて)
独立行政法人建築研究所:免震住宅設計ガイドライン(案)より引用
耐震 | 構造物の強度又は変形能力の確保により地震動に対する |
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耐震構造 | 耐震を目的とした構造。 |
免震 | 構造物の基礎部分などにゴム弾性(積層ゴム)系、滑り系、転がり系などの免震装置(アイソレーター及びダンパーにより構成される)を入れて地震動による揺れの強さを抑えること。 |
免震構造 | 免震を目的とした構造。 |
免震住宅 | 免震構造を用いた住宅。 |
維持管理 | 建築物や設備の機能を保ち、劣化を防ぎ、資産価値を保全 するために、点検、補修、清掃、警備、保守などを日常的、 定期的に行うこと |
免震装置 | 免震構造物のうち上部構造と下部構造の間に設置 される装置をいい、アイソレーター及びダンパーによって 構成されるものの総称。 |
アイソレーター | 地盤から建築物を絶縁する装置又は機構。 地震動に対して完全な絶縁は困難であるので、 実際には、建築物重量を支持できる強度と剛性 を有し、かつ、水平方向には非常に小さな剛性を 有するものが用いられている。 |
ダンパー | 減衰器のこと。 振動エネルギーを吸収し、振動を小さくさせる装置。 |
復元力 | 変形又は移動した物体を元の状態に戻そうとする力。 船体、浮体などでは、傾いた状態を元に戻そうとする力。 |
減衰 | 振動や音などが時間の経過や空間的な伝搬距離に 従って小さくなっていく現象。エネルギーが別の形に 変換されたり逸散することにより生じる。 |
固有周期 | 構造物は、その質量と剛性から決まる特定の振動数を 持って振動する。このときの振動数を固有振動数といい、 その逆数を固有周期という。 |
上部構造 | 免震構造物のうち免震装置より上部の構造。 |
下部構造 | 免震構造物のうち免震装置より下部の構造及び基礎構造 |
応答加速度 | ある系が外部からの刺激に対して反応するとき、系の出力 として得られる加速度 |
地震動 | 地震によって地盤に生じる振動。 |
kine | カイン(㎝/s)、速度計で得られた地震波の単位。 |
GAL | ガル(㎝/s2)、加速度計で得られた地震波の単位。 (重量加速度は980cm/s2) |
兵庫県南部地震 | 1995/01/17、淡路島北部、M7.2、死者6400人 |
台湾中部地震 | 1999/09/21、台湾、M7.6、死者2400人 |
ELCENTRO-NS TAFT-EW 八戸-EW |
過去の代表的な地震。 構造解析で検証する地震波として用いられる。 |